芥川龍之介のおすすめランキング!面白い小説10個をまとめてみた!

芥川龍之介といえば、誰もが知る有名作家です。普段は本に触れないという方でも、国語の時間に彼の作品に触れたことはあるでしょう。

芥川の作品は、古典や過去の物語を題材に新たな物語を紡ぎあげているという特徴があります。このように聞くと、「えっ、そんなに昔の話なんて面白くなさそう…」と感じるかもしれませんね。

しかし、芥川龍之介のすごいところは、古典を題材に「人間ってこんなもんなんだ」という私たちの本質を描き出しているところにあります。だから、現代の私たちが読んでも、「確かにそうだなぁ」と共感できるのです。彼が天才作家と呼ばれるのも、こういうところに理由があります。

今回は、芥川龍之介のおすすめ作品をランキング形式でご紹介します。併せてあらすじの紹介や5段階で読みやすさの評価も行っているので、参考にしてくださいね。

芥川龍之介のおすすめランキング10

10位:「地獄変」

読みやすさ

男が良秀という人物にまつわる物語を語るという形式。50ページ以上の長さがあり、描写が丁寧すぎで少々読みにくい。題材となった作品を知っていると、面白みが増す作品。

ひとこと紹介

何という不思議な事でございましょう。あのさっきまで地獄の責苦に悩んでいたような良秀は、今は言いようのない輝きを、さながら恍惚とした法悦の輝きを、皺だらけな満面に浮べながら、大殿様の御前も忘れたのか、両腕をしっかり胸に組んで、佇ずんでいるではございませんか。

あらすじ

平安時代、良秀という男がいた。この男は優秀な絵師として有名であったが、性格は傲慢で痩せこけた老人である。

ある時、良秀は堀川の大殿から「地獄変」の絵を描くように依頼される。リアリティを追求する良秀は、自分の眼で見たものしか描けぬと、弟子を鎖で縛ったり、ミミズクに襲わせて苦しむ様子を写していた。しかし、どうしても描けないのが、牛車の中で焼かれる女性の姿であった。

そのことを聞いた堀川の大殿は、良秀の娘を牛車に乗せ、火をかける。自分の娘と知った良秀であったが、娘が焼かれる様子を食い入るように見入っていたのだった。

 解説

この話の元ネタは「宇治拾遺物語」の絵仏師良秀という話で、古典の教科書にもよく乗っており、読んだことがある方も多いかもしれませんね。

良秀は「地獄変」の屏風を書き上げた後、自ら命を絶っています。良心の呵責に耐え切れなくなったという解釈がありますが、それだけでは説明しきれない感情があったのではないかと思えます。読み終えた後の余韻も何とも言えない作品になっていますね。

9位:「蜜柑」

読みやすさ:★★★★★

6ページという短さで、舞台も近現代であるので情景を浮かべやすい。芥川自身が体験したことを小説にしているので、芥川好きの方にはぜひ読んでもらいたい作品。

ひとこと紹介

私はこの時始めて、言いようのない疲労と倦怠とを、そうして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである。

あらすじ

疲れ切った男が汽車に乗り出発を待っていると、田舎じみた娘が乗り込んできた。

男は娘の垢ぬけなさや汽車のルールを知らない様子に腹を立てる。挙句には娘がトンネル内で窓を開けたことで、黒煙が車内に流れ込みせき込む男。

文句を言ってやろうと思った男の眼に映ったのは、汽車を見送る幼い少年たちの上に蜜柑を落とす娘の姿だった。

解説

やはり人間として美しい行為を見れば、うれしい気持ちになりますよね。

娘に良い感情を抱いていなかった男も、少女の思いやりを目の当たりにして最後には朗らかな気持ちになっています。ちょっとした行為にホッコリする心情変化をうまく書いている作品だと思います。

詳しいあらすじや解説はこちらで紹介しています。

芥川龍之介の蜜柑のあらすじと解釈を簡単に紹介!

8位:「トロッコ」

読みやすさ:★★★★★

難しい用語もなく、本文も10ページほどしかないのですらすら読める。誰でも体験したことのあるような心情を描いており、主人公に感情移入しやすい作品。

ひとこと紹介

しかし彼は何と言われても泣き立てるより外に仕方がなかった。

あの遠い路を駈け通して来た、今までの心細さをふり返ると、いくら大声に泣き続けても、足りない気もちに迫られながら、…………

あらすじ

鉄道建設のために、村にトロッコが通るようになった。良平はトロッコが物珍しく、ほかの子供と遊んでみるが、作業員にひどく怒られてしまう。

それ以来近づくことはなかったが、ある日親しみやすい若い作業員とともにトロッコを押すことになった。

下り坂ではトロッコに乗せてもらい良平は喜んでいたが、グングン村から離れていくことに不安が大きくなっていく。ついには、作業員たちから「もう帰れ」と言われ1人残された良平。

不安を抱きながら無我夢中で村へと走り、無事に家に着くやいなや大声で泣き出してしまうのだった。

解説

子供のころ、見慣れない土地で迷子になったり、良平のような経験をしたことがある方は多いと思います。そういった経験のある方は非常に感情移入しやすいですね。

楽しい気分から、不安が大きくなる過程、そして家に帰ってくることができた安堵…といった心境の変化を巧みに表現している作品だと思います。

7位:「侏儒の言葉」

読みやすさ:★★★★

全部を読まなくても、気になった言葉について読める。内容はとても深いので、本当に理解するには繰り返し読む必要がある。

 解説

この作品はほかの小説とは形式が違い、芥川の言葉に対する考えをつづったものです。彼がどのように考え方を変えたのかも読み取ることができ、面白い作品になっています。

例えば、「鼻」と題して、「クレオパトラの鼻が曲がっていたなら、世界の歴史はそのために一変していたかもしれない」という有名なパスカルの言葉から思索をめぐらしています。

なかでも私は、「人生」と題して、「人生は1箱のマッチに似ている。重大に扱うのは馬鹿馬鹿しいが、重大に扱わなければ危険である」という表現が気に入っています。

切れ味鋭い言葉がいくつも込められ、芥川龍之介の思想を覗くにはもってこいです。かっこいい名言を知りたいという方には特におすすめしたい作品です。

6位:「藪の中」

読みやすさ:★★

途中までは読みやすいのだが、物語の肝は混乱するつくりになっている。哲学や認識論に興味がある人は余計に面白く感じると思う。

ひとこと紹介

なるほど血は流れない、男は立派に生きている、

――しかしそれでも殺したのです。

罪の深さを考えて見れば、あなた方が悪いか、わたしが悪いか、どちらが悪いかわかりません。

あらすじ

複数の人物の視点から物語が語られていく。

ある日、京都の山科付近で男の遺体が見つかった。聞き込みの結果、多襄丸という盗人が男と女を騙し命をも狙ったと判明。

最後は多襄丸ら当事者が事件について発言をするのだが、皆言うことが食い違っている。一体、何が真実で何が嘘なのか。真相は藪の中である。

解説

ミステリーが好きな方には特におすすめできる作品です。

物語の中心となる多襄丸、女そして男がそれぞれ見た事実を語るのですが、みんな言うことが異なるため、混乱してきます。「真実はいつも1つ」といいますが、私たちはみんな異なる見方で異なる世界の解釈をしているのかもしれません。

余談ですが、森見登美彦さんが「新訳走れメロス」の中で「藪の中」を現代風にアレンジして書いており、こちらもおすすめです。

5位:「芋粥」

読みやすさ★★★

短編だが、昔の道具など少し馴染みのない用語が出てくる。京都の地名を知らないとイメージがつきにくい部分がある。反面、主人公の心境は共感しやすく、物語のストーリーも辿りやすい。

ひとこと紹介

 「いや、もう、十分でござる。……失礼ながら、十分でござる。」

あらすじ

五位と呼ばれる男は風采の上がらない男であった。目上の者から、果ては子供にまで馬鹿にされている五位ではあったが、年にわずかだけありつける「芋粥」を楽しみに日々を送っていた。

ある酒の席、藤原利仁が戯れに、五位に飽きるまで芋粥を食わせてやろうと約束をする。それからしばらくたって、五位は利仁の屋敷に招かれ大量の芋粥をご馳走になるのだが、食べる前から満腹感に襲われなかなか喉も通らない。

少しの芋粥を飲んだ後、何とか辞退できた五位は「これ以上飲まなくてもよい」という大きな安心を感じたのであった。

解説

普通、思いもかけず自分のしたいことが叶えば、ものすごくうれしいと思います。例えば、宝くじに当選したとか、その典型ですよね。

しかし、五位にとっては夢がかなってしまうことはどうしても避けたいことだったのです。どうしてそんな心境になったのでしょうか。ぜひ自分で考えてほしいポイントです。

あらすじや解説についてはこちらで詳しく紹介しています。

芥川龍之介「芋粥」のあらすじと解釈を3つのポイントから考察!

4位:「鼻」

読みやすさ★★★★

13ページと短く、心情が丁寧に描写されているのでわかりやすい。内供の振る舞いや、周囲の反応などは非常に人間らしく、理解しやすい。

ひとこと紹介

人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。

所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。

あらすじ

池の尾の内供はあごの下まで垂れさがる大きな鼻で有名だった。生活上不便であるうえ、人々のうわさも内供の自尊心を傷つけている。

あるとき、弟子の1人が「鼻を短くする治療法」を聞いてきた。複雑な思いで治療を受けてみると、確かに鼻が短くなっているではないか。

喜ぶ内供だが、周囲の者は短くなった鼻を見て笑っている。彼らは内供の不幸がなくなってしまったのを、残念に思っているのだ。

それを知った内供は元の長い鼻のほうがましだと考え始める。その願いが通じたのだろうか。ある朝目覚めると、内供の鼻は再び長くなっており、どうしようもなく晴れ晴れとした気分になったのだ。

解説

「他人の不幸は蜜の味」といいますが、人が幸せになっているのを見ると、「どこか面白くないなぁ」という感情がモヤモヤと出てきます。内供に対する周囲の人たちの反応もうなずけるところですね。

また、望んでいたものを手に入れたことでかえって不幸になった内供の姿にも、感じるものがあります。どんな幸せにも何かしらの欠点がついて回るのかもしれませんね。

芥川龍之介「鼻」のあらすじと感想をカンタンに紹介!

3位:「杜子春」

読みやすさ★★★★

全部で23ページと短い。場面ごとに区切られており、展開を追いやすいつくり。

ひとこと紹介

「何、贅沢に飽きたのじゃありません。人間というものに愛想がつきたのです。」

あらすじ

唐の都、長安に杜子春という若者がいた。彼は元々金持ちだったのだが、現在は落ちぶれて途方に暮れている。

あるとき、不思議な老人と出会い、杜子春は一晩で大金持ちになった。老人が仙人だと見抜いた杜子春は、弟子入りを志願し「どんなことがあっても声を出さない」という修行を行う。

悪魔のいたずらや神将の脅しにも耐える杜子春であったが、自分の父と母が苦しむ姿を前にして、思わず声を発してしまった。修行は失敗したが、その人間らしい姿に仙人は満足するのであった。

解説

一言でいえば、杜子春はあんまりいいやつではありません。大金をせっかくもらったのにすぐ浪費してしまうし、金で態度を変える人間の汚さにうんざりして今度は仙人になろうと考えます。

しかし、自分の両親をこれ以上苦しめることはできないと、彼が起こした行動には「人間らしい美しい感情」が現れていると思います。

杜子春の「人間らしさ」とは何なのか、別記事で詳しくまとめてあります。

5分で理解する!芥川龍之介「杜子春」のあらすじと感想まとめ

2位:「羅生門」

読みやすさ★★★★★

11ページと短く会話文も多いので読みやすい作品。改めて読んでみると、下人の心の動きは非常に人間臭いと思う。下人の心境を追うために読み返す必要があるかも。

ひとこと紹介

外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方は、誰も知らない。

あらすじ

天災や病に襲われ、衰退しきった京都の羅生門に1人の下人がうずくまっていた。この下人は仕事を失い、かといって盗みを働く勇気もない。

下人は雨をしのごうと羅生門に上ると、1人の老婆が死人から髪を抜くのを目撃する。醜い行いを見た下人には悪を憎む心が沸き上がり、老婆をとがめる。

しかし、老婆の言い分を聞くにつれ、下人の心は正反対の方向に動き出す。最後には老婆の着物を奪い、闇の中へと消えていくのだった。

 解説

私たちの心は不安定で、ちょっとした刺激で変わってしまいます。しかも、自分の都合にあわせて、良いとか悪いといった基準をそのたびに変えてしまう生き物です。

自分も下人のように悪を強く憎むときもあれば、「ちょっとくらいはいいか」と甘くなる時が確かにあると感じます。

最後、下人はどうして老婆の着物を奪ったのでしょうか。こちらの記事で詳しく解説しています。

3分でわかる!芥川龍之介の羅生門のあらすじと解釈

1位:「蜘蛛の糸」

読みやすさ:★★★★★

わずか7ページしかなく、児童向けに書かれたため非常に読みやすい作品。カンダッタの姿を自分に置き換えて読むことができれば、大人でも作品をより深く味わえる。

ひとこと紹介

自分ばかり地獄からぬけ出そうとするカンダッタの無慈悲な心が、そうしてその心相当な罰をうけて、元の地獄へ落ちてしまったのが、御釈迦様の御目から見ると、浅間しく思召されたのでございましょう。

あらすじ

生前、大泥棒として悪事の限りを尽くしたカンダッタは、死後地獄に落ちて苦しんでいた。何とか助けてやろうと考えたお釈迦さまは、極楽の蜘蛛の糸を地獄で苦しむカンダッタのもとへと垂らす。

これ幸いと糸を上り、地獄から脱出を図るカンダッタだったが、亡者が群れを成して細い糸を上ってくるのを見て驚く。

自分だけ助かりたい一心で、亡者たちを振り落とそうとしたとき、糸は手元でプッツリ切れ、カンダッタは再び地獄へ落ちていくのだった。

解説

人間の本質は「我利我利」だと仏教では教えられています。「我利我利」というのは、「自分さえよければ他人はどうなってもいい」という心。

「さすがにそんなにひどいこと、思ってないよ」と反論したくなりますが、カンダッタのような状況に立たされたらどうでしょうか。短い文章の中に、私たちの姿を見事に描き出した作品だと思います。

どうして蜘蛛の糸を使ったのか、糸が切れてしまったのはなぜなのか。その疑問についてはコチラの記事で解説しています。

芥川龍之介「蜘蛛の糸」のあらすじと解説!この話の教訓は何?

おすすめ作品を表で整理

いままで10作品を、読みやすさやあらすじとあわせて紹介してきました。さかのぼるのも大変なので、作品ランキングと読みやすさを一覧にまとめておきたいと思います。

順位 作品名 読みやすさ(5段階評価)
10位 『地獄変』
9位 『蜜柑』 ★★★★★
8位 『トロッコ』 ★★★★★
7位 『侏儒の言葉』 ★★★★
6位 『藪の中』 ★★
5位 『芋粥』 ★★★
4位 『鼻』 ★★★★
3位 『杜子春』 ★★★★
2位 『羅生門』 ★★★★★
1位 蜘蛛の糸』 ★★★★★

星が多いほど、とっつきやすい作品になっています。芥川の作品はどれも素晴らしい内容なのですが、「あまり読書に慣れていない…」という方は、短い作品から入るのがおすすめ。

『蜘蛛の糸』や『杜子春』などは短編集にまとまっているので、1冊芥川の短編集を購入してみるのがいいと思います。

私が持っているのは主要なものが収録されているこれらの作品集もおすすめです。

ぜひ、芥川龍之介の世界に浸ってみてくださいね。

おわりに

いかがだったでしょうか。今回は芥川龍之介の中でもおすすめの作品をランキング形式で紹介しました。芥川の作品は、本当に人間の感情をうまく描写していると思います。

ちょっと読んでみようかな」という方はまずは短編集を手に取ってみるのがおすすめ。安いものは300円ほどで購入することができるので、1度読んでみるのもいいですよ。

こちらでもおすすめ作品を紹介しています!

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