「グスコーブドリの伝記」や「注文の多い料理店」、「銀河鉄道の夜」など、宮沢賢治の作品は多く知られていますよね。独特な世界観と表現で、読者を魅了してやまない宮沢賢治ですが、生前は知名度が非常に低く評価されていなかったといいます。
今回は宮沢賢治の名言を30個ピックアップしてみました。優しく、語り掛けるような言葉の数々を、一緒に味わってみましょう。
宮沢賢治の名言30選!
人生
宮沢賢治が語る言葉はどこか幻想的な雰囲気を漂わせています。現実のことを指しながらも、どこか遠い世界のことを語っているように感じるのです。ここに紹介する言葉の中にも、賢治らしい表現が見られます。
・一つずつの小さな現在が続いているだけである。(ビジテリアン大祭)
・我々が出来ることは、今を生きることだけだ。
過去には戻れないし、未来があるかどうかも定かではない。
・誰が誰よりどうだとか、誰の仕事がどうしたとか、そんなことを言っているひまがあるか?(生徒諸君に寄せる)
・わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い証明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の ひとつの青い照明です(春と修羅)
・けれども、ここはこれでいいのだ。
すべてさびしさと悲傷とを焚いて、ひとはとうめいな軌道をすすむ。(春と修羅)
哲学
賢治の言葉は、「切れ味が鋭い」という類いのものではないと思います。しかし、彼本人が目の前で語り掛けてくるような優しさにあふれています。賢治の考えていたことはどんなことだったのか、すこし覗いてみましょう。
・無意識から溢れるものでなければ、多くは無力か詐偽である。(農民芸術概論綱要)
・人の心を本当に動かすにはその人の体験から滲み出る行いと言葉しかない。知識だけでは人は共感を感じないからだ。(出典不明)
・打算性の強い人はたいてい失敗する。(出典不明)
・みんなむかしからのきょうだいなのだから けっしてひとりをいのってはいけない。(青森挽歌(春と修羅))
・優秀な人間は議論や分析が先行し、それで終わってしまうことが多い。行動に移さねば意味がない。(出典不明)
・かなしみはちからに、欲り(ほり)はいつくしみに、いかりは智慧にみちびかるべし。(書簡)
・ぼくはきっとできると思う。なぜならぼくらがそれをいまかんがえているのだから。(ポラーノの広場)
・まことのことばはここになく 修羅のなみだはつちにふる。(春と修羅)
おれはすこしぐらいの仕事ができて そいつに腰をかけてるような そんな多数をいちばんいやにおもうのだ(告別)
幸福
宮沢賢治の幸福観も多くの作品に表現されています。彼の思想の根底には仏教的なものの捉え方があると言われます。自分ひとりの幸せを求めるのではなく、世界全体のみんなの幸福を願うという賢治の優しい言葉を見ていきましょう。
・真の幸福に至れるのであれば、それまでの悲しみは、エピソードに過ぎない。(出典不明)
・誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸せなんだねえ。(銀河鉄道の夜)
・世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない。(農民芸術概論綱要)
・何がしあわせかわからない。本当にどんなに辛いことでも、それが正しい道を進む中の出来事なら峠の上りも下りもみんな、本当の幸せに近づく一歩一歩になる。(銀河鉄道の夜)
・雨にも負けず 風にも負けず雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫なからだをもち慾はなく 決して怒らずいつも静かに笑っている。(雨ニモマケズ)
勇気
私たちに語り掛けるような賢治の言葉を読んでいると、とても勇気づけられます。例えば、ここでも紹介している「銀河鉄道の夜」のジョバンニは、幼いながらも「ほんとうの幸福」を見つけようという決心をしています。そんなひたむきな姿も、宮沢賢治の作品の魅力なのかもしれません。
・きみのようにさ 吹雪やわずかの仕事のひまで 泣きながら からだに刻んでいく勉強が まもなくぐんぐん強い芽を噴いて どこまでのびるかわからない それがこれからの新しい学問の始まりなんだ(春と修羅)
・僕はもう、あんな大きな暗(やみ)の中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしにいく。(銀河鉄道の夜)
・新しい時代のコペルニクスよ 余りに重苦しい重力の法則から この銀河系統を解き放て(生徒諸君に寄せる)
・人はやるだけのことはやるべきである。けれどもどうしてももうできないときは、おちついてわらっていなければならん。落ちつき給え。(グスコーブドリの伝記)
・ああそんなに かなしく眼をそらしてはいけない。(無声慟哭)
・僕たちと一緒に行こう。僕たちはどこまでだって行ける、切符を持っているんだ。(銀河鉄道の夜)
芸術観・信念
詩や童話を生み出し、教鞭をとっていた賢治は「働く」ということに関してどのように考えていたのでしょうか。彼の言葉から考えてみると、苦しみすらも享受するような姿勢がうかがえます。しかし、そんな中でも心は穏やかに、笑顔を浮かべているというのが賢治の理想だったのではないでしょうか。
・詩は裸身にて、理論の至り得ぬ境を探り来る。
そのこと決死のわざなり。(手帳に記された言葉)
・どうも、ちょうどよく働くことほど、体に良い事は無いですな。(出典不明)
・詩人は苦痛をも享楽する。(農民芸術概論綱要)
・誓って言うが、わたくしはこの仕事で疲れを覚えたことはない。(生徒諸君に寄せる)
・自分が真実から目をそむけて子どもたちに本当のことが、語れるのか。(私が先生になったとき)
もっと宮沢賢治の名言を知りたい方に!
いかがだったでしょうか?宮沢賢治の言葉は不思議な魅力にあふれていますよね。
「もっと名言を知りたい!」という方には、「かなしみはちからに 心にしみる宮沢賢治のことば」という本がおすすめです。
斉藤孝さんが監修をしており、爽やかな印象を与えてくれる言葉の数々が収録されています。また、「宮沢賢治 魂の言葉」という本もおすすめできます。
こちらは、宮沢賢治の親族の方が書いている本です。写真で賢治の手帳や絵といった貴重なものも収録されているので、ぜひ手に取ってみてくださいね。
宮沢賢治の作品のあらすじや解説も紹介しているので、参考にしてくれると嬉しいです。
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